遥か彼方(短編)





『じゃあ、葵の家に行くな!!また明日の約束は果たしたぞ!』
また明日の約束って…。


こんな少しのことでも、スッゴク嬉しくなっちゃう。

このまま終わりたくないな…。


『了解です!』
「あー。早く学校終われー。家に帰りたーい!」
「葵うるさい。また当てられたらどうするの?」
そうだった。今は数学の時間。
あの先生、いっつも私当てるんだよね…。
こっちは遙で忙しいのに…。





キーンコーンカーンコーン





あ。授業終わった!
「起立 気をつけ 礼 」

わーい!帰ろーっと。

「あーおい。ちょっと待って。呼ばれてるから。」
あれ?優子ちょっと怖いよ?
あ…。上野くん。
「ま、松本さ。今日」空いてる?」
えー。今日は遙と会うし…。
それに上野くんには美咲が…。
「あのさ、すぐに終わるならいいよ。」
やっぱり可哀想だしね。
私なりの優しさだよ。
そして私達は屋上に向かった。
「上野くん。用事って何かな?」
「あのさ、松本は好きな人いる?もしいなかったらさ、俺のこと嫌いじゃないなら付き合ってほしい。俺ずっと松本が好きだ」
はい。好きな人います。サヨウナラって言ったら失礼だよね…。
「ごめん。私も今好きな人いるの。だからさ、新しい恋みつけてよ。応援してるからさ。」
「そっか…。ありがとうな。松本、頑張れよ!」
そういって上野くんは少し悲しそうな笑顔で走り去ってしまった。


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