遥か彼方(短編)


あ。遙。



「はぁ、はぁ。遙!ごめん、遅くなった!!」
「葵。俺もさっき来たとこ。何か用事でもあった?」
また嘘ついた。この暑い中、さっき来た人がこんなに汗だくなはずがない。
しかも自転車あるし。
「あ、はい!カップケーキだよ。味は期待しないでね。」
やっと渡せた…。
「ありがと。期待してる。」

ん?ケータイなってる。
『もうすぐ夏休みだから、遙さんとお祭り行く約束したら?あ、カップケーキ渡せた?』
美咲からだ。
そっか、もうすぐ夏休みか…。
「ねぇ、遙。」
「んー。どした?」
「夏休みさ、一緒にお祭り行かない?」
無理、だよね…。
「いーよ。二人だけなの?あ、夏休みの初日空けといて。」
「二人だけだよ。」
よ、よかったぁ。
断れるかと…。遙はかっこいいし、誘われてるかと思ったよ。
初日かぁ。何するのかな?
あー、海いきたい。
「あ、ヤバッ!んじゃ俺はそろそろ部活行ってくる!」
え。このために部活サボったの?
ここら辺は学校近いらしいけど…。
そういえば、遙って何部だろ?
「またね。」
またね…か。
言うだけでこんなに辛いんだ…。
またっていつだろう?
明日?明後日?




とにかく







早く会いたかった。







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