遥か彼方(短編)


「遙!」
「よっ!葵。待たせて悪かったな。じゃ、行くか!」
行くってどこに?
遙は私の手を握り、バス停にやって来た。


なんだか、恋人どうしみたい…。

「は、遙!今日はどこ行くの?」
「んー。着いてからのお楽しみ…。」
遙の顔がほんのり赤かった。

無言のまま揺れるバス。
あ…眠くなってきた…。
てか、遙寝てるし。
部活の後だもんね。私も寝よ。




「おい!葵着いたぞ!」
「んー?なぁに?もうついたんだぁ。」
早すぎじゃない?あ、結構時間たってた。
「ねぇ、遙って何部なの?」
あー。やっと聞けた。
運動部だよねー。バスケっぽい。
「言ってなかったっけ?俺剣道だよ。」
け、剣道?やば。かっこいいじゃん。
「凄くかっこいいじゃん。」
あ、また赤くなった。
ひょっとしたら照れてる?
「ほ、ほら。ここ…覚えてる?」
「あ、ここ。私達が初めていった海だね…。綺麗…。」
「あのさ。今日は言いたいことがあるんだけど。俺、ドンドン葵のことが好きになってる。俺、葵のこと好きだ。付き合ってほしい…。」
えっ…?嘘でしょ?
「よ、よろしくお願いします…。」
断るなんて出来ないよ。
「えっ!いいの?俺ふられるかと…。」
「私も好きだよ。遙のこと。」
やっと言えた…




好きって。




「じゃ、よろしく。俺の彼女さん♪」
彼女かぁ。

ドキドキするなぁ。







今日は最高に幸せな日でした。





今日がずっと続いてほしいと何度も思いました。





なんでかな…





神様はほんと意地悪だ。





私達はこんなに愛し合っているのに…。







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