遥か彼方(短編)
「あっつ!うわ、ぜってぇ舌火傷したわぁ…。」
ぱく。あ、美味しい。
「美味しいね!」
「葵、口のまわりにソースついてる(笑)」
なっ!普通、それ言う!?
ごしごし。
ハンカチで口のまわりを拭いた。
「ちょっ!なんで拭くの!せっかくキスするチャンスだったのにぃ…。」
は?き、キス?
してほしかったかも…。
「…あ。もうすぐ花火始まるね!その前にリンゴ飴買ってくる!」
わたしは急いでリンゴ飴を買いに行った。
あー。絶対顔赤いよね…。
「…リンゴ飴のおっきいの1つ…。」
遙はキスしたいのかなぁ…?
「はい。あら、大丈夫?顔赤いけど?」
「えっ!だ、大丈夫です!」
やばー。恥ずかし…。
遙の所に行かなきゃ!
「はーるかー!」
いた!
「あ、葵!遅かったな!」
「並んでたの。遙、一緒に食べよ!」
そういいながら私は必死にリンゴ飴を舐めてる。
「じゃ、一口ちょーだい。」
あ、いま気づいたけど、間接キスじゃん。
ドーン!
「わぁ!花火!きれぇ!」
夜空に輝くたくさんの花火。
それを見ている遙を見ていたら、自然に身体が動いた。
「ねぇ、遙。」
「んー?」
チュッ
「!!…あ、葵!?」
「…ごめん。でも、遙しようとしたしいいよね?」
遙がファーストキスの相手じゃないことを考えると少し残念。
「謝るなよ…。俺、今すげぇ嬉しいからさ!」
夜空に浮かぶたくさんの花火の中で私達はキスをした。
「あー。花火終わったなぁ。」
「綺麗だったね!今日はすっごく楽しかったよ!」
ほんと。1日が終わるのが早く感じた。
「じゃぁ。帰りますか。」
行きと同じように手を繋ぎ、私達は家へ帰った。
「今日はありがとう。来年も、また一緒にいきたいね!」
「そうだな!」
月日は流れ、、私達の夏休みは終わっていった。
私はあの夏休みを忘れない。
絶対に、絶対に。
私はあのときの君の笑顔も忘れないよ。
今でも鮮明に覚えているから。