遥か彼方(短編)


「おう。ちょっと待っててな?」
そう言って遙は更衣室へ向かった。
「あれが噂の彼女!?」
周りはザワザワしている。
私が彼女じゃ、いけないの?
「おっ待たせ〜」
遙が制服姿で走ってきた。
「今日も何処か行く?」
「あー。わりぃけど、先に薬局行っていいか?」
薬局?
胸騒ぎする…。
どこか悪いの?
「ど、どうしたの?」
「いや、足痛くて。ただの筋肉痛だよ。」
よ、よかったぁ。
「じゃ、行こっか!」
こうして、私達は薬局へ向かった。




手、繋ぎたいな…。

「ねぇ、手ぇ繋いでもいい?」
「いや、今部活の後だから汗くさいかも……。」
「くさくなんかないよーっと。」
私は勝手に手を繋いだ。
「…でね、文化祭は着ぐるみ喫茶するの!絶対来てね!」
「おう。俺らの文化祭も来いよ。」
いつの間にか薬局に着いた。
「じゃ、湿布買ってくる。」
遙は湿布を買って、すぐにつけていた。
やっぱり痛いのかな?
「は、遙。今日は帰らない?やっぱり、足痛いんでしょ?」
遙はギクッとしてた。
「だ、大丈夫。でも、良かったらおうちデートしたい…。」
「ん。わかった。遙の家行く?」
遙は頷いてから、手を引いて家へ向かった。




「着いたよ。」
そこはオシャレな白を基調とした洋風なおうち。
「おっきいね!」
そういえば、私遙の家初めてだ。
そう思うとなんだか緊張してきた。
「ただいまぁ。 …入って?」
「お、お邪魔します。」
「部屋は二階上がって右だから。俺は飲み物とか取ってくるな!」
「うん。ごめんね。」
目の前の階段を上がり、右の黒いドアを開けた。
「遙の部屋…。」
中はシンプルで、黒っぽい家具が多かった。
なんか、そこが遙っぽいな(笑)
よし。座って待っておこう。
真ん中にあるガラスのローテーブルの近くに私は座って遙を待つことにした。
「おっ待たせ〜」
「あ、持つよ」
遙はジュースとたくさんお菓子を持ってきてくれた。
「いいよ。はい。炭酸平気?」
「うん。ありがと。それと、足大丈夫?ちょっと見せて!」
「大丈夫だって。ほら。」
遙は素直に足を出してくれた。
「膝の近くが痛いの?…腫れてはないね。」
「おう。大丈夫って言ったろ?それに、俺は葵の笑顔があればどんな病気も治るの!わかった?」
「そんなわけないじゃん。痛かったら言うんだよ?」
私達はこんな感じで何時間か話していた。
「あ、そろそろ帰らなきゃ。」
「送るよ。」
「だめ!足痛いんでしょ?早く治してほしいし。」
「はぁ。悪いな、ほんと。」
「じゃあね。おばさんによろしくね!」
「おう。じゃあな。今日はまじありがとな。」

ほんとに治ってほしい…。








あのとき、もっと早く気づいてたら



君は助かったのかな?





あの日が私達の運命を変えたんだ




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