遥か彼方(短編)

文化祭




「いらっしゃいませ〜」
「おいしーですよー!」


今日は待ちに待った文化祭。
私は今、ウサギの着ぐるみで遙を待っています!

〜♪


『今恭介と校門入ったよ!』


「優子!遙からメール。今校門のとこだって。もうすぐ来るね!」
「うん!……。あのさ、美咲うまくいってるかな?上野と。」
「大丈夫だよ。美咲だし(笑)」
私も優子は二人で校内を歩き回るだけという、一番楽なお仕事。
一番嫌なことといえば、着ぐるみの前と後ろに宣伝の紙つけてることかな?
「おーい!葵!あ、ウサギ可愛いなぁ。似合ってっぞ!」
可愛いって言ってくれた!
今日はいい日だな〜(笑)
「一緒にまわろ!」
「じゃあ、どこに行こっかな?葵、何処かいいとこない?」






私達は校内中を歩きまくり、外はすっかりオレンジ色に染まっていた。

「いやー、いっぱい稼いだ!しかも、スッゴく楽しかったしねー。ね?遙!」
隣の遙をみると、なんだか辛そうな顔。
もしかして、つまらなかった?
「お、おう。今日はすげぇ可愛かった。」
「ねぉ、遙。無理しないで?どうしたの?」
「実はさ…。あれから足、痛くなる一方なんだよ。今では歩くだけでも痛くて……。ほんとごめんな?」
「なんで…なんで早く言ってくれないの?明日病院行くよ?…私も一緒に行くから。いい?」
「わかった。…ありがとな」



「葵!片付けて!恭介、遙君と先帰ってて!」
「優子待ってぇ!じゃあ、遙また明日!」
遙、大丈夫かな?



明日、何もないといいけど……。





この頃の私はほんとに嫌い。





今でも後悔してるよ





だって明日は絶対来るって思ってたから。





でも、そんな私を遙はいつも受け止めてくれたよね?





ほんとにごめんね



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