遥か彼方(短編)
突然の悪化
今日は朝から憂鬱。
「葵。」
愛しい人の声。
「遙。行こっか。」
私達が向かうのは市で一番大きな病院。
受付の人の指示に従って、呼び出しを待っていた。
《見崎 遙さん。》
「呼ばれたね!行こう!」
「やべぇ、まじ緊張する。」
ドアを開けると優しそうな先生がいた。
「いつから症状が?」
私達は今まであったことを詳しく話した。
「あの、よく聞いてください。」
嫌な予感がする…。
大丈夫だよね。ただの筋肉痛だもんね。
「見崎村あなたは今“骨肉腫”という、骨のガンになっています。しかも今は悪化していて、腫瘍が増大に伴って肺に腫瘤を作っています。来週から入院する準備をしておいてください。」
え。ガンなの?
あんなに元気だったのに…。
遙はもう治らないの?
「あの、それは薬飲んだら治りますか?」
「見崎さん。なおる可能性は少ないよ…。手術はもうしても意味はないかもしれない。一応抗がん剤はだそうと思う。」
手術でも、治らないの?
「では、失礼します。葵帰るよ。」
「う、ん。」
やだ。
遙は死んじゃうの?
「ねぇ、遙……。」
「っ…俺、死ぬのかなぁ…。葵…。死にたくねぇよ…っ。」
初めて…遙が泣いてる…。
そうだよね。
一番辛いのは、本人だよね…。
「大丈夫。まだ遙は死なないよ。葵が守ってあげるから…。」
私達は帰っていった。