遥か彼方(短編)
「あ、葵?」
「さっきの話聞いちゃった。私の幸せは、遙の隣にいることだから…。お願い。別れるなんて言わないで?」
ここで終わりたくない…。
もっとそばにいさせてよ。
たとえ最後が来るとしても、その最後のときまで私は君の側にいたい…。
「いいのか?ほんとに、俺なんかで。俺はもうすぐで死んじまうんだよ?」
「…遙がいいの。」
あれから1ヶ月
〜♪
「あ。遙からメールだぁ!」
「そういえば、遙さんどう?大丈夫?」
「美咲!お茶こぼれる!」
『 今日大事な話がある。協力してほしいの…。』
「…ねぇ、二人とも。」
「ん〜?どした?」
「私、早退するね!先生に適当に理由つけといて!」
「ちょっと葵!?」
「葵頑張れ!」
二人ともありがとう。
ごめんけど、遙の大事な話を早く聞かないといけない気がして…。
「遙!大事な話って?」
「お、お前、学校は?」
「そんな、学校どころじゃないよ!」
部屋にはお医者さんとおばさんがいた。
「話ってのは、俺、治療やめることにした。でも、生きるの諦めた訳じゃないから。どうせ死ぬなら、最後は笑ってたいじゃん?帽子でも被ってクラスの奴に別れを告げたいしな…。」
よかった…。
でも、話してるとき、遙の顔は悲しそうだった。
多分、さっきもう助からないって言われちゃったのかな…?
「わかった。私は遙を応援するよ。」
今の私はこんなことしか言えなかった…。
こんな運命なら…
私はいない方がよかった?
時間がたつにつれ
君は笑わなくなったね…
動くだけでも痛いよね…
私が、君の笑顔を奪ったんだよ…
ごめんね……
言いたくてももう言えない。
もっともっと笑ってほしかった……