遥か彼方(短編)
私は家に帰り、手紙を読むことにした。
{葵へ}
手紙なんて、らしくねーよな(笑)
気づいてるように、俺の病気は悪化している。
聞いてたと思うが、もう治らない。
葵の笑顔をとってごめん。
最低な彼氏だよな。
俺が入院してて、毎日来てくれて、俺に一生懸命話してくれた。
俺にはもったいないくらいの彼女だった。
俺が死にそうじゃなかったら、結婚しようとか、言えたのにな…。
もうすぐ死ぬ奴に言われても、意味ねぇよな。
俺はさ、葵に出会うまで好きなやつなんて出来なかったよ。
最初葵を見たら、なんか胸がきゅっとしてさ、どんどん会いたくなるの。
あー、恋したなぁって。
あのさ、これ読んでるころには俺は葵の側にいれない。
だからさ、約束して。
笑って。俺は葵の笑顔に救われたから。
その笑顔で、俺以外の人も救ってよ。
あと、服が入ってる棚に、渡したかったものが入ってる。
おれの代わりに葵を守ってくれるよ。
最後に、葵は俺を思ってくれてるなら、新しい恋をしてくれ。
俺よりいい男なんかいっぱいいるから。
もっと幸せにな?
世界一愛してる
幸せに出来なくてごめんな。
俺が葵を苦しめたよな?
許してほしい。
最後の最後まで、俺を救ってくれたのは葵でした。
俺の最初で最後の恋人は葵です。
今までありがとう。
遙
「…うっ…なによ、この手紙…。幸せだったよ…。ほんとに…大好き……っ…。」
遙。
今までありがとう。
私はたくさん困らせたりしたよね?
最後まで、遙はかっこよかったよ
残念ながら、最後の約束は守れないよ。
私の好きな人は遙だけなの。
遙よりいい人なんているわけないじゃん。
私も世界一愛してるよ