遥か彼方(短編)
遥か彼方





「…君は今、この海を見てるかな…?」

私は今でもあの手紙を大事に読んでるよ。

渡したいもの…ペアリングだった。

もちろんつけている。



「この海に来ると、君が隣にいる気がするんだ…。」


遙と出会って、短い時間だけど、たくさんの経験をした。


恋する喜び。



命の尊さ



悲しい別れ



全て、今となっては大切な思い出だよ。



「ねぇ、遙。遙との約束、今でも守ってるよ。」


そのとき、遙が「葵…」って呼んだ気がするんだ…。



また涙が出ちゃった。




ねぇ遙。




君は私といて幸せでしたか?



後悔はしていませんか?



死ぬのって、辛かったよね?



何もできなくでごめん。




でもね、私は今、遙が見てるって思うと笑顔になれるんだ。




あの頃はとっても幸せでした。




この海を君と見れたらなって思います。






たとえ皆が君を忘れても、私は絶対忘れない。




いつか、生まれ変わっても




恋人になれますように。








君は今、遥か彼方にいるね。






“私は今も変わらず、遙だけを愛しています”






届いたかな?






この気持ち






< 29 / 30 >

この作品をシェア

pagetop