遥か彼方(短編)
「ちょっと来てほしいんだけど。」
「うん、わかった。じゃ、私はやっぱりパスで。ごめんねー。」
えっ!だったら私と遙二人きりじゃん。優子と恭介はもういないし…
「よし、葵ゲーセン行こう!」
「…へ?」
遙に手を引かれ、私たちはゲームセンターに着いた。
「ねぇねぇ。君一人?友達と来てるの?」
げ。ナンパじゃん。金髪にピアス…気持ち悪い…。
「友達と来てるので。」
「じゃあさ、俺らとその子で遊ばない?カラオケとかで。君、すっごい可愛いから俺おごるしさ。」
俺らには私も入ってるんだ…。
遙は両替で今居ないしな…。遙、早く来てよー。
「てかさ、友達遅くない?俺らいるから逃げちゃったりして(笑)もう君だけでいいから行こっか!」
ナンパ男は私の手を引っ張ってズンズン進んで行く。
「嫌!離して!……遙助けて…」
ヤバい。涙出てきた。遙来ないのかな…。
助けて。嫌。怖いよ。
「おい。」
遙の声だ…。
「そいつ、俺の女なんだけど…。」
俺の女…。すっごいドキドキする…。
「うわ!男連れかよ!誰だよ友達つったの!」
ナンパ男逹が逃げていった。
「遙、ごめんね。」
「ちがう。」
え?違うの?
「ごめんじゃねえ。ありがとうだ。俺はそういってほしいんだけど。それに、謝るのは俺のほう。」
「遙ありがとう」
「怖い思いさせて悪かったな。あ、プリクラとるか!」
そうして、私達は出会って初めてのプリクラをとった。
「葵の変顔マジウケる!」
「遙も笑えるしっ!」
プリクラもとったし、ぬいぐるみもとったし楽しかった。
「帰りますか。」
「うん。今日は楽しかったね。」
今日がずっと続いたらいいのに。
「…もっと…遙と居たいな…」
「え?」
「い、いや。その…。聞こえちゃった?」
「…俺といて楽しかった?」
遙は意地悪だ。私がこんなに笑ってたのに楽しくないわけがない。
「すっごい楽しかったよ。だから寂しいの!」
「でも、もう家着いたからな…。あ、じゃあさ。俺の言うこときいてくれたら今度は丸一日遊ぼう!」
言うこと?
「えっと、もっと俺にメールしろ!電話をしろ!以上!」
…。
やっぱり遙はやさしい。
絶対私のために言ってる。
「じゃあな。また明日!絶対明日会おうな!約束!」
また明日なんて言わないで…。
明日、期待しちゃうじゃん。