極妻
「戸籍謄本も持ってきやがった。16年前に死亡届が出されてた」


「そこまで……!」


「そんでさっき、死亡診断書を書いた医者にも、墓を管理する寺にも裏取った。
間違いねぇ、死んでる」


「……そうやったんか」


背中を向けられてたから、朔夜がどんな表情をしてるのか分からないけど、胸が苦しくなった。悲しくなった。


なんとなく、草薙の家にいた頃の自分といまの朔夜がだぶって見える。冷たい父親と、他人だらけの家で寂しく育った自分と。


でもうちにはまだ尊兄ちゃんという存在があったけど、

……朔夜にはどうなんやろ?


ずっと会いたかった、ただひとりの妹も、実はとうの昔に死んどったなんて、ツラいやろな……。


「なぁ旦那さん!うちが……!」


「ア?」


「あっ…!?い、いや、なんでもない…」


あわてて口をつぐむ。
あれ?いま私、なんて言いかけたんやろ?自分でもよう分からん……。


「何だ?赤くなって?…ハハーン、とうとう小夜子も俺に抱かれたくなったか?」


「ハァァッ!?あほなこと言わん…」

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