極妻
瞬く間に目の前が煙でさえぎられてく。心臓がバクバクと音をたてて体が震えてきた。


「…ゲホッ!!…助け…!!誰かおらんの!?ここ、開けて…ゲホッ!!」


煙を吸ってうまく声が出せない。するとまたバチバチッっと木が砕けるような大きな音がした。


そして浴槽のうえにあった小窓がバンッと破裂するように割れて、そこからオレンジの炎が見えた。


「ぎゃぁぁぁっ!?」


もう疑いようのない火事だ。おまけにこの屋敷もお風呂場も木造だ。火のまわりは早い。


そして何でか知らんけど、戸が開かなくてここから逃げれない。このままやったら洒落にならん!


私、ここで焼死するん!?いやや!!


「だ、誰か……!!誰か……!!」


尊兄ちゃん、助けて!!!!


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