極妻






午後になると、意外な人が病室にお見舞いに来てくれた。


同じクラスの市川さんと、クラスメイト三人の女子だ。転校初日以来、ほとんど口をきいてなかったのでこれには驚いた。


鬼塚さんが退室して、女の子四人だけになると彼女たちはベット囲んで気まずそうな笑みを浮かべた。


「ね、今の人ってお兄さん?超こわそーなんだけど…」


「え?…あ、ああ!お兄さん…みたいなモン!見た目は怖そうやけど、そんな悪い人やないよ」


「そ、そう。似てないね。………………ってそんなことより!!……お家が火事になったって担任に聞いたんだけど大丈夫なの!?」


「うん。…すこし火傷したけど、うちは大丈夫」


「そっか!うんうん!入院したって聞いたから心配したけど、思ってたより元気そう!」


市川さんたち、もしかして私を心配して来てくれたんやろか?
紫月白夜(朔夜)が入院してることは知らんと思うし……。


でも、ずっと私をシカトしてたのになんで?


四人がお見舞いに来てくれた理由を、いまいち不思議に思ってると、市川さんはゴホンと咳払いした。


「あのね……うちらずっと西園寺さんに謝りたかったんだ」






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