極妻
「ホ、ホンマのことて?」


「夏休みさ、紫月からうちらに電話きてさ…」


「え?」


「『俺は別に誰とも付き合ってねーし、付きまとわれてもいねーから、イジメみたいなガキっぽい真似やめろ、見てて引く』って」


「…!?だん……紫月さんがそんなことを…?」


驚く私のまえで、再び目を合わせる四人。叱られた子供のような、しゅんとした表情をしてる。


「あの紫月にそんな言われちゃうとこっちもね…」


「うん。紫月って今まで他人に無関心だったのに」


「それに、うちらもやり過ぎかなぁ…ってずっと思ってて」


「でもなかなか西園寺さんに話かけるタイミングつかめなくてさ…それで今日…」


四人の話は続いたけど、頭のなかは今ごろ集中治療室で寝ている朔夜のことでいっぱいだった。


あの旦那さんが、私のために裏でそんなことをしてくれとったなんて知らんかった。


なんも言うてくれへんもん!


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