極妻
「わ、忘れられんよ!旦那さんがうちに一目惚れしたなんて言われて…!めっちゃドキドキしてんもん!」
「でしたらそのお気持ちを朔夜様に…」
「あーっ!でもアカン!アカンねん!ややこし過ぎて、どうしたらいいか分からんわ…!」
兄妹。
はっきり言って、この二文字がこんなに重いなんてこれまで感じんかった。
でも今は重くて潰れそうや。
私と旦那さんが、同じときに同じおかんのお腹からこの世に出てきたなんて。
生まれるまえから隣におったなんて……!
「小夜子様?」
ふだんから難しいことを考え込むのが苦手な私は、つい言ってしまった。
「だって……意味わからん……アカンやろ、……うちと朔夜、……兄妹なんやて」
妙な沈黙がながれ、鬼塚さんはめずらしく呆気に取られた声で私をむいた。
「……………今なんと仰いました?」