極妻


「子供(暴走族)同士の抗争です。そして女子高生がレイプされる事件も多発しております」


「はぁ!?ほんま!?御劔組はほっとくん!?」


「それは警察の仕事ですから」


息を巻いて言ったが、苦笑いされただけ。
そりゃそうやわ。


それに族は所詮、組にとって使い勝手のいい飼い犬。薬の売買やら集会のケツ持ちで懐を潤わせてくれる。だから生かさず殺さずや。


ガキ同士の喧嘩なんか、知ったことやないっちゃうわけか。被害におうた子は気の毒やけど、うちは何もしてやれん。


「あー、……くすんだ世の中やなぁ」


「小夜子様、くれぐれもお一人での外出はなさいませんように。特に夜間は。外出の際は必ず私にお声をかけてください、どこへなりとお供します」


鬼塚さんの言葉は丁寧やけど、娘を心配する父親のような口調に思えて、すこし心が和んだ。




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