極妻
「……んまぁぁ…なんですって…!?」


青くなって震えるこの人たちを見て、「プッ」っと笑ってしまった。そして踵を返してさっさと部屋に戻る。


まったく上品ぶって!うちを焼き殺そうとしたくせに!火事の犯人、ぜったいあの人らや!


けど証拠もないし、もうすぐ実家に帰るし、今となってはどうすることもできんけど!


ピシャッと部屋の戸を閉めたとたんに、火傷姿の旦那さんがよぎった。


すると膝から力が抜けて、そのまま畳にストンと崩れる。


終わるときというのは、なんて呆気ないものなんやろ。


もう会えなくなるのに、朔夜とこんな中途半端な終わりなん?


お礼も言えてない。双子の兄ちゃんやのに。
ホンマの事を伝えなくて、いいんやろか。


でも、私が『探してた妹や』なんて言ったら、どんな顔するやろ?


離婚を決めてからも胸はモヤモヤ苦しいままだった。いや、どんどん苦しくなっていく。


畳のうえでしばらく膝をかかえていると、廊下から声がした。


「いらっしゃいますか小夜子様?朔夜様がお二人だけで話をされたいそうです」


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