極妻
実家に戻るまえに、きちんと朔夜と話したい。なにを考えてるのか知りたい。
これが最後のチャンスかもしれない。


気づけばパーカーに腕を伸ばしていた。


誰にも見つからないように、そっと屋敷を出た。そして駅のほうへと向かう。


鬼塚さんに事情を話し、車を出してもらおうかとも思ったけど、『内緒で』と伝言されたのでやめた。


まだ電車動いてるし、乗りかたも覚えたし楽勝や。


秋のひんやりする空気のなか、夜道を走った。



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