極妻
朔夜とこんなやり取りすんの久しぶりで、怒鳴られてもなぜか嬉しかった。


旦那さんとおると、とてもムカつくんやけど……妙に居心地がええ。
血が繋がってるからやろか?


わからん。


なんでこんなに胸が苦しくなるのか。
切なくなるのか。


分からん





「泣くな」


不思議な気持ちが込み上げて、気づいたら涙がこぼれていた。まるで美術室のリプレイみたいや。


「………鬼塚さんが……最後に言うた言葉……聞いたやろ?……うちら双子の兄妹なんやて……うち、怖い目に遭ったけど、あんたと会えなくなるんは寂しい……」


「………」


朔夜はおおきな目を見張って、私をじっと見た。驚いたって表情で。


「小夜子はあのクソ兄貴の傍が良かったんじゃねーの?」


「それは……よう分からん……自分の気持ちが……。

ずっと訊こう思うてたんやけど、なんで妹探そう…って気になったん?」


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