極妻







その日は抜けるような晴天やった。雲ひとつない青空。



このきれいな空が、これから起こる悲しい出来事と対比してるようで、よけいに切なかった。





「"ケリ"ってなんのこと?尊お兄ちゃんとなにを話したいん?」


いまは実家へと向かう車中。
後部座席の隣に座る朔夜に、なんどか質問したけど答えてくれない。


「それにしても……アンタ勇気あるな。組の人たち連れんでうちの家(大倭会)に行こうなんて」


車を運転してるのは今日のためだけに雇ったドライバーさん。私たちが何者なのかも分かってない。


「信用できる人間なんか、世界に一人もいねーからな」


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