極妻
「小夜子ってマジ面白れぇ。俺にこんな歯向かった女いねーもん」


まさに面白い玩具を与えられた子供のように愉しげな朔夜。


それに引きかえ、私は必死やった。


「お願いやから、それだけはやめて!!うちは……、アンタの妻にはなるけど、それは形だけやん!?それ以外のことなら、何でも言うこときくから、それだけはやめてや!!」


言ってること滅茶苦茶やて思ってる。やけくそで叫ぶと、朔夜は笑うのをやめて真顔に。


「小夜子ってガキな。思ってた以上に」


「…え?」


「惚れてる男がいんだろ?」


「……っ!?」


図星つかれた。
尊お兄ちゃんの顔が浮かんだ。そうや。うちはお兄ちゃんが好きや。


相手が醜男やろうが美形やろが関係ない!お兄ちゃん以外に抱かれとうない!


でも泣くなんて悔しい。そう思って目をゴシゴシ擦ると、朔夜は私の上から身体をどけた。


「………!?」


「まいっか。あの男との取引だし」



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