極妻
朔夜がボソッともらした言葉を、聞き逃さなかった。


「………取引て?」


「なんでもね。つか小夜子みてーな貧乳に興味ねーし。見逃してやる」


"あの男"とは誰で、"取引"とは何か気になったけど、これ以上は突っ込めなかった。


それより、


「え?えっ?えっ!?ほな、ホンマに……エ、エ、エッチはシしなくてもいいんっ!?」


がばっと起き上がりながら興奮してきくと、朔夜はムッとした顔に。


「喜び過ぎじゃね?ま、いーや。そのうち小夜子の方から俺に『抱いてくれ』って泣きついてくるからよ」


「……………!」


何を言うとんねんこの男は!?


……っという突っ込みは心のなかだけにした。ヘソ曲げられて『やっぱ気ぃ変わった』て襲われたらかなわん。


「ホンマありがとうな旦那さん!」


「調子いーなテメ。今ビビって小便チビってたくせに。ま、すぐ俺に惚れさせるけどよ」


「チ、チビってへんわ!!みくびらんといて!!」


前言撤回!ふつうやなしに口の悪いナルシストや!見た目通りの。


「いいか?話し戻すけど、表向きはさっきのあの男が西園寺朔夜だからな?外で俺と会っても話しかけんなよ?」


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