極妻




下校の時間になり、ひとりとぼとぼと昇降口を出た。キャッキャッとはしゃぐ周りの子たちが、やたら楽しそうに見えて切ない。


東京でなら、もしかして友だちが出来るんやないかと期待してたのにムリかもしれへん。放課後まで誰も口きいてくれんかったもんな。


って、これやったら前と同じやん!


いや!シカトされてる分、前よりもひどい!これも全部、紫月の……つまり旦那さんのせいや!!


だいたい、『外で会ってもオレに話しかけるな』って言ったくせに、なんやの!?


それに、それに、……キ、キスまでされて……!


思い出してイライラしてると、頭にぱこーんと何かがぶつかった。


「……ッ!?痛ッッたァーーッ!?」


鈍い痛みを感じてふり返ると、そこに旦那さん本人が立っていた。


足元に転がった靴を拾いながら。


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