極妻
ニヤリと笑みを浮かべた顔を見て、ますます怒りが噴き出した。


「な、何すんのッ!?いま靴ぶつけたやろー!?それに一日どこほっつき歩いてたんッ!?こっちはアンタのせいでーーッ」


「あああーッ!!マジうるせー女ッ!!ホラ帰んぞ?テメェ荷物もてや」


朔夜は学ランの下に着込んでる白のパーカーのフードを被って、大袈裟に耳をふさいだ。


そして私の足元に、ルイヴィトンのカバンを投げつけた。


「ちょ、うちはアンタの荷物持ちちゃうわ!!」


とは言い返したものの、朔夜がてくてくと歩いていってしまったので、仕方なく転がったカバンを拾った。


「ちょお、待ってぇ!」


渋々追いかけようとした。その時だ。


ガシャーーーンッ!!


私の目前、50センチくらいの足元に、黒い何かが落ちてきて、大きな音とともに割れた。


「………ッ!?」


地面に散らばったのは粉々に砕けた植木鉢らしかった。土と、植えられてたであろうパンジーと、割れた鉢が辺りに散乱した。



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