極妻
ハンカチを取りだし、朔夜の傷口から流れる血を押さえながら訊くと、ハンドルを握る鬼塚さんが微笑した。


「朔夜さんは今日お一人で帰ると言われた小夜子様のことを心配していて…」


「余計なこと言ってンとマジで窓から放り出すぞコラッ!!」


と、凄い勢いで鬼塚さんの話をさえぎる朔夜。


え?なに?まさか?電車で帰ろうとしたうちを心配して後から付いて来てくれてた…とか??


すると朔夜はあわてた顔で舌打ちした。


「チゲ━━━━━━━━よッッ!!!!たまたま俺の前をたまたま小夜子が歩いててたまたまアイツらに連れてたところをたまたま…」


「はぁ!?もしかして駅でのこと全部見てたん!?だったらもっと早ぅ助けてくれてもええやんっ!?」


「小夜子がビビって泣いてるツラでも拝んでやろうと思って。楽しかったろ?監禁ゴッコ」



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