君がいなきゃダメなんだ。【壁ドン企画】
すっと私から離れた先生は、スーツの上着を手にすると、すぐに研究室のドアの方へ向かう。
「じゃあ、行ってきます」
「は、はい……!」
いまだに鳴り止まない胸を押さえながら、パタンと閉まるドアを見つめる私。
先生が私を気遣ってくれるのは素直に嬉しい。嬉しいのに、わずかな不満がむくりと芽を出す。
「“完璧な助手”か……」
それ以上に、見てもらうことは出来ないの?
先生のお世話ばっかりしている私は、恋愛対象にはならないのかな──。
胸のときめきがかすかな痛みに変わる頃、窓の外では大粒の雨が降り出していた。
* * *
翌日、冴木先生はいつもの美麗な顔を半分マスクで覆っていた。
講義をしながら鼻をずびずび鳴らしている彼は、見事に風邪っぴきだ。
「先生、実習は私が見てますから、ちょっと休んでいてください」
「すみません……」
準備室で実習に使う砂糖やらクエン酸やらを用意しながら言うと、彼はよたよたと研究室に戻っていく。
どうやら昨日傘を忘れて買い物に行ったらしく、ずぶ濡れになって帰ってきたのだ。
もう~本当に私がいないとダメなんだから!
「じゃあ、行ってきます」
「は、はい……!」
いまだに鳴り止まない胸を押さえながら、パタンと閉まるドアを見つめる私。
先生が私を気遣ってくれるのは素直に嬉しい。嬉しいのに、わずかな不満がむくりと芽を出す。
「“完璧な助手”か……」
それ以上に、見てもらうことは出来ないの?
先生のお世話ばっかりしている私は、恋愛対象にはならないのかな──。
胸のときめきがかすかな痛みに変わる頃、窓の外では大粒の雨が降り出していた。
* * *
翌日、冴木先生はいつもの美麗な顔を半分マスクで覆っていた。
講義をしながら鼻をずびずび鳴らしている彼は、見事に風邪っぴきだ。
「先生、実習は私が見てますから、ちょっと休んでいてください」
「すみません……」
準備室で実習に使う砂糖やらクエン酸やらを用意しながら言うと、彼はよたよたと研究室に戻っていく。
どうやら昨日傘を忘れて買い物に行ったらしく、ずぶ濡れになって帰ってきたのだ。
もう~本当に私がいないとダメなんだから!