紅い死神は闇を跳ぶ
家には帰れなかった。
帰るには人影達の横を突っ切っていかなければならなかったから。
同居人はどうしているだろう。
両親共にアメリカに居るので幼馴染と同居しているのだ。
家賃、電気代、光熱費もろもろは割りカンで。
「あいつのことだから僕が帰っていないのにも気が付かないだろうな・・・」
寝ぼけ眼で『もう準備してんのかよ。相変わらず早ぇな』とか言いそうだ。
何せ、彼はヴォルより早く寝て遅く起きるのだから。
遅刻の常習犯でもある。
「はあ・・・」
帰ってからの洗濯、食器洗い、朝ご飯の準備は全て自分にまわって来るだろう、と考えると泣きたくなってくる。
「昨日はあいつが当番なのに」
思わず涙声になってしまった。