二十年後のクリスマスイブ
 桐人の時間が此処で止まった。
 何も知らない律子はジングルベルを口ずさみながら、刻々と桐人の元へと近付いていた…

「赤ちゃん?…」

 全くもって予想もしない言葉に言葉は出なかった。

「俺と真由美の?…」

「なんてこった…」

「これが、俺の運命…」
 律子との道が遠ざかり又、別の道が現れた事を桐人は悟った。

「子供か……」

「とことん、律子の所には行かせないっていう事かい…」

「子供は、俺と真由美を親に決めてくれたのか…」

「律子では駄目だという事なのか?…」

「何故?…………」

「子供には罪はない…」
「全ては、運命…」

「歩くしかないのか…新しく出来た道を!…」

「行けなくなってしまった……律子」

「愛してたよ律子……」
 これが桐人の判断だった。
 しかし…ここで、ドアのチャイムが鳴った…
 何も知らない律子が桐人の元に到着した……
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