薬指の秘密
「そんな話よりさ、しるふ彼氏は?」

間には行って来た章子

「えー…一応、いるかな」

そう答えながら思い出すのは、あの漆黒の瞳と落ち着いた声音

少し懐かしく感じるのは、数日あっていないからか

「彼氏いる?って質問に対する答えが一応って彼氏に何かしらの不安があるらしいわよ」

お姉さんに話してみなさい

肩に乗せた腕でしるふを引き寄せつつ、口調はまるで飯田莉彩

「や、別に不安なんて」

ないと言えば嘘になるけれど、それを言おうものなら

莉彩に「のろけ」と言わること確定な些細なことばかり

「つか、高嶺の花、立花しるふを落とした男について個人的に興味があるだけ」

ねえ?山岸

「そうだね。とっても興味がある」

「いや、特にこれと言って特徴のある人じゃ」

強いて言うなら超淡泊、超マイペース、超鈍感だろうか

ついでに言うと時々俺様

「私はそれより章子の彼氏さんの話が聞きたいな」

「え?うちの連れ?」

相変わらずよ

相変わらず仕事魔人

なんて夜は更けていく
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