薬指の秘密
しるふの指した先をたどれば見慣れた人影

「あ、本当だわ」

えー、しるふの彼より早く登場するとか空気の読めない奴ねー

「しるふの彼は?あとどれくらいで来るの」

彼氏に片手を上げながらしるふを振り返る

「あと5分位かな。道混んでないだろうし」

「そう、じゃあ彼が来るまで車の中いなよ」

寒いでしょ

で、山岸は帰りなさい

「ひどい扱い」

と言いながらも二次会に行くメンバーに呼ばれ、山岸が離れて行く

「いいわねー、明日休み組は」

という章子は編集社勤務でただいま校了前の多忙時期だそうだ

「しるふは?明日何時から」

車の中に移動すると温かくてほっと息をつく

「あ、実は明日休みなんだ」

「なんだ、だったら二次会行けばいいのに」

「あー、彼氏が迎えに来るって言って聞かないし、それに今日出張先から帰ってきたんだよね」

さすがに日をまたいでから電話で起こすのは気が引ける

「へえ。しるふの彼氏像想像できないわ」
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