薬指の秘密
なんて話しているとバックミラーに見慣れた車が映る

「着いたみたい」

「でもさ、しるふ幸せそうだし良い彼氏さんなんでしょうね」

章子の言葉に照れ隠しに苦笑しつつ、別れを告げる

小走りに向かう先には数日ぶりの海斗の姿

それだけで少しうれしくなるのは、お酒のせいだろうか

「おかえり、海斗」

そしてありがとう

「ただいま、お帰り」

「ただいま」

助手席に滑り込むと温かい

やっぱりこれが一番しっくりくる

「酔ってるな」

「少しね」

「いつもそれ位に抑えられたら飯田に呼び出しを食らうこともないのに」

章子に再度別れを告げて走り出した車内で海斗が口を開く

「ああー、今日は迎えに来てくれて少し海斗株が上がってたのにー」

そういうこと言う―

「迎えはいいって言った時に限って迎えに行くとか言うし、休みの日に迎え来てっていうと嫌そうなこと言うし」

海斗、よくわかんなーい
< 26 / 70 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop