薬指の秘密
視線を投げると漆黒の静かな瞳が見下ろしてくる
「もしかして焦った?私が海斗から離れて行くんじゃないかって。だから急に指輪買ってくれるなんて言ったりした?」
至近距離で見つめる海斗の瞳は、真っ黒でどこまでも透き通っている
「かわいいところあるなー、海斗も。もう少しわかりやすいとなおよろしい」
からかい交じりに笑うと返って来たのは至極真面目な声だった
「そうだな」
「……え。そこ否定してよ。いつもみたくさ」
軽くあしらってくれないと調子が崩れるのはこちらの方だ
まさか海斗が本当に焦るなんて事態予想もしていない
「いいきっかけになった。そろそろ本気で自覚を持ってもらわないといけないと思ってたからな」
「…言っておくけど、私鈍感じゃないから」
「もうそれは諦めようかと思ってる」
何度言ってもしるふの自覚は変わらない
「じゃあ、何の自覚を持たせたいのよ」
真っ直ぐ見上げてくる瞳と香るカモミールの香り
見つめ合った後、海斗の手が頭を撫でて背中にあった温もりが離れて行く
「もしかして焦った?私が海斗から離れて行くんじゃないかって。だから急に指輪買ってくれるなんて言ったりした?」
至近距離で見つめる海斗の瞳は、真っ黒でどこまでも透き通っている
「かわいいところあるなー、海斗も。もう少しわかりやすいとなおよろしい」
からかい交じりに笑うと返って来たのは至極真面目な声だった
「そうだな」
「……え。そこ否定してよ。いつもみたくさ」
軽くあしらってくれないと調子が崩れるのはこちらの方だ
まさか海斗が本当に焦るなんて事態予想もしていない
「いいきっかけになった。そろそろ本気で自覚を持ってもらわないといけないと思ってたからな」
「…言っておくけど、私鈍感じゃないから」
「もうそれは諦めようかと思ってる」
何度言ってもしるふの自覚は変わらない
「じゃあ、何の自覚を持たせたいのよ」
真っ直ぐ見上げてくる瞳と香るカモミールの香り
見つめ合った後、海斗の手が頭を撫でて背中にあった温もりが離れて行く