キュンとする距離
ちゃんと返事をして、食べ始めて3分たっただろうか。
「あ!山内さんだ。かっこいいなー。」
彼女たちの視線の先には、新卒の22才、イケメンと評される山内だ。
私は、やつのことが苦手だ。
山内と私は、中高と一緒でなにかと絡んでくるやなやつという印象が強い。
「なんか山内さんて、斎藤くんに似てるよね。あー、是非とも昨日の再現してほしい。」
たしかに昨日のドラマに出てた、主人公の女性の相手役に似てる気がする。
「いいですねー!山内さんに壁ドンされたら、私即死しちゃうかもです。」
「たしかに!…ちぃ先輩は、壁ドンとかやっぱり興味ないですか?」
やっぱりってなによ、やっぱりって。
「ないね。どこがいいのかさっぱり。ドンなんてされたら『はぁ?何様のつもり?』て思うよ。」
「…ちぃ先輩、かわってますよねー。」
なにそのちょっと哀れんだような目は!
壁ドンなんていいから、早く食べなさいよね。