最初の一歩はこちらから ~似たもの同士のささやかな恋の始まり~
「メリークリスマス!」

 笑顔で言うと、ケイちゃん、さすがに何が起こったのか分かったようで、じりじりと後退した。
 私はもちろん、追いかける。
 じきに、壁際に追い詰められたケイちゃんは、困った顔で私を見た。

「マ、……マリちゃん?」

「ケイちゃん、好き」

「……あの、それは」

 さすがに、この状態ではケイちゃんの無敵のスルー力も適わない。
 
 ドンッ。

 私はケイちゃんの顔の横に、両手をついた。

 それから、ゆっくりと顔を近づける。
 ケイちゃんの驚いた目。その瞳の中に自分の姿を見つけた。

 唇を、そっとケイちゃんのそれに押し当てた。
 唇が触れる瞬間は目をつむったから、初めてのキスで、ケイちゃんがどんな表情をしていたかは分からない。

 ああ。
 ずっと、こうやって触れたかったんだ。
 
 心の中がほんわか暖かい何かでいっぱいになる。

 ケイちゃんの唇は、とても柔らかくて暖かかった。

 ゆっくりと唇を離して目を開けた。

「こういう意味の……好き」

 ケイちゃんの目から、驚きの表情が消えない。

 もしかして、私なら大丈夫って思ったのは勘違いだったのかも知れない。
 そう思ったら泣きたくなってきたけど、泣いてなんていられない。

 もう、後には引けないんだ。
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