最初の一歩はこちらから ~似たもの同士のささやかな恋の始まり~
いとこ同士
 この恋に気がついたのは、高校生の時。

 3つ年上のケイちゃんが大学生になって、彼女ができたんだって聞いた時。

「ケイにも、とうとう彼女ができたのよ」

 ケイちゃんのお母さん、つまり伯母さんがそう言った時、周りの景色が一瞬でグレーアウトした。

 その時まで、ケイちゃんは大好きないとこでしかなかったから、彼女という言葉にショックを受けている自分に驚いた。

 男子校出身のケイちゃん。
 それまで、女の人の話を聞いたことは一度もなかった。



 ケイちゃんが彼女と別れたと聞いたのも、やっぱり伯母さんからだった。

「ケイ、ふられたらしくて、すごく落ち込んでるのよ」

 母と二人でそんな話をしているのを聞いて、こんなところでネタにされてるケイちゃんを気の毒に思ったし、落ち込んでいると聞いて胸が詰まった。

 なのに、ケイちゃんがフリーになったというのは嬉しくて、どこかで心が浮き立っていた。
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