最初の一歩はこちらから ~似たもの同士のささやかな恋の始まり~
「確かに、それは、ちょっとやばそうですね」
仕上がった大量の資料を取りに行くべく階段を降りて行くと、ケイちゃんの声が耳に飛び込んで来た。
同じ会社に勤めているからこそのサプライズ。
ケイちゃんの声に思わず頬が緩んだ瞬間、その広い背中の向こうにいた女の人と目が合った。
確かケイちゃんの部署の先輩女性。
引き締まった身体に、理知的な印象の瞳。すらりと背の高い綺麗な人。
彼女は私をちらりと見てから、ケイちゃんの腕に手を伸ばした。
「ゴミがついてるわよ」
「あ、すみません」
女の人は満面の笑みをケイちゃんに向けた。こびた笑顔が鼻につく。
そんなあからさまに牽制しなくても……。
残念ながら、ケイちゃんは結構もてるから、私はこういうシチュエーションに慣れているんだ。
「でね、S社の件だけど、悪いけど打ち合わせに付き合って欲しいの」
仕事の話、しかも、ちょっと深刻そうな雰囲気。
その上、来るなよ来るなよってオーラがひしひしと感じられる。
これじゃあ、声なんてかけられやしない。
がっかりしながら、私は更に階段を降りることにした。
仕上がった大量の資料を取りに行くべく階段を降りて行くと、ケイちゃんの声が耳に飛び込んで来た。
同じ会社に勤めているからこそのサプライズ。
ケイちゃんの声に思わず頬が緩んだ瞬間、その広い背中の向こうにいた女の人と目が合った。
確かケイちゃんの部署の先輩女性。
引き締まった身体に、理知的な印象の瞳。すらりと背の高い綺麗な人。
彼女は私をちらりと見てから、ケイちゃんの腕に手を伸ばした。
「ゴミがついてるわよ」
「あ、すみません」
女の人は満面の笑みをケイちゃんに向けた。こびた笑顔が鼻につく。
そんなあからさまに牽制しなくても……。
残念ながら、ケイちゃんは結構もてるから、私はこういうシチュエーションに慣れているんだ。
「でね、S社の件だけど、悪いけど打ち合わせに付き合って欲しいの」
仕事の話、しかも、ちょっと深刻そうな雰囲気。
その上、来るなよ来るなよってオーラがひしひしと感じられる。
これじゃあ、声なんてかけられやしない。
がっかりしながら、私は更に階段を降りることにした。