最初の一歩はこちらから ~似たもの同士のささやかな恋の始まり~
追憶
 総勢7人のいとこの中で女の子は私一人。そして、私が一番チビだった。

 何かにつけて仲間はずれにされる私と、いつも一緒に遊んでくれるのはケイちゃんだった。

 転んで膝小僧を擦りむいても、2つ上の実の兄は「そんなのなめときゃ治る」って、私を置いて走って行く。

 でも、ケイちゃんは私の涙を拭い、私をおぶって家まで連れて帰ってくれた。
 ケイちゃんの背中で見た、大きな夕日に照らされたオレンジ色に輝く雲。朱く染まった街並。輝く街路樹。

「夕焼け、きれいだね」

 ケイちゃんの穏やかな声、その背のぬくもり、優しさを思い出すだけで、心がほっこりと暖まる。
 自分を置いて行っちゃった薄情なお兄ちゃんへの恨みごとも、ケイちゃんのおかげで緩やかに氷解した。
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