独り歩き。




するとその瞬間、突然フワッと後ろから抱き締められて、驚きでまた涙が止まった。


「いくな。生きる気力がないなんて言うなよ。お前、自分のこと、何にもわかってねぇよ。」


「先…輩……?」


「何が醜いだ。何がひどいだ。そういうこと思って、自分責めるようなとこからして、お前は優しいよ。」


先輩の言葉に、また涙が流れてきて。


「俺、前に言ったよな。気づかないだけで傍にいるかもしれない。絶対お前を愛してくれる人がいるって。

俺はさ、ずっと好きだったよ。お前が。すごく優しくて。でも、弱くて脆くて。守りたいってずっと思ってた。」


強く抱き締められて、いつの間にかまた、願っていたんだ。


“愛されたい”って。





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