独り歩き。




「お前、前に言ってたよな?愛されたいって。」


先輩の抱き締める腕の力がどんどん強くなっていって。


「俺じゃダメか?」


弱々しい声が耳に響く。


感動と。


喜びと。


何とも言えない安心感と。


とにかくいろんな感情が混ざりあって、大量の涙となって溢れた。


「何か言えよ。俺、頑張ったんだぜ?」


そう言った先輩がちょっとかわいくて。


愛しいと思った。


「私でいいんですか?」


やっとの思いで出たのは、消えてしまいそうな程弱々しい声だった。


「お前だったら最高。てか、俺がお前を愛したい。ダメ?」


「……ダメなわけないじゃないですか。私、ずっと先輩のこと好きだったんだから。」


「………」


黙り込む先輩に、少し不安になりながら、恐る恐る名前を呼ぶ。


「……涼先輩?」


「…マジで言ってる?俺のこと好きなんて……」


「嘘なわけない。」


「後から嘘って言っても遅いからな。」


「ありえない。先輩こそ、今さら嘘って言っても遅いですよ。」


「そっちの方がありえねぇ。」


そう言って、二人で笑い合った。





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