あの頃、今頃。
莉奈はしっかり者で頭もいいし、何でも出来る秀才。
それに比べて私は、おっちょこちょいで何をするにも要領が悪くて頭も悪い。
『いいとこなし』って私みたいな人間をいうのかな。
それでも、莉奈と同じ高校に入学できたことは私の唯一の自慢だった。
莉奈と私じゃ、頭の差は鴉と鶏。
莉奈と同じ学校に行きたいという一心で、鶏の私はこの高校に受験した。
そんなダメもとで受けた高校に受かるなんて、嵐がきてもおかしくなかった。
友情の力は本当にすごいと思う。
しばらくして、式が始まった。
全ての項目が手際よく行われ、最後にクラス分けの提示があった。
新入生は自分の名前が書かれてる教室へと、それぞれに足を運び始める。
「莉奈が一緒のクラスとか……本当に嬉しいし!」
「これから毎日、うるさい天音とまた同じ教室かあ」
莉奈はあからさまに嫌そうな顔をして私に言った。
そんな莉奈に対して、私は頬を膨らませてそっぽをむいた。
「いいよいいよ。私は他の友達つくるから」
「嘘だって!あたしも嬉しいよ」
私達は笑いながら、ざわつく廊下を歩いてた。
そして、1年2組と書かれた教室の前で足を止めた。