先生と私の秘めごと
「ん? どうした? 青柳」
私がじっと瀬川先生のほうを見ていたからか、先生が不思議そうな顔でこちらを見る。
「……もしかして、これ欲しいの?」
瀬川先生がニヤリと笑って、私に自分が飲んでいた缶コーヒーを差し出してくる。
「えっ!? ちょっ、何言ってるんですか! 別に欲しくて見てた訳じゃありませんよ。
それに私、コーヒーはミルクと砂糖をたっぷり入れないと、未だに飲めませんし」
「へえ。ブラックで飲めないとか、青柳もまだまだお子様だな。はははっ」
「こっ、好みは人それぞれだし、良いじゃないですか」
そうだよ。20歳になっても私は、30過ぎの先生に比べたら、まだまだ子供だよ。