先生と私の秘めごと


「ん? どうした? 青柳」


私がじっと瀬川先生のほうを見ていたからか、先生が不思議そうな顔でこちらを見る。


「……もしかして、これ欲しいの?」


瀬川先生がニヤリと笑って、私に自分が飲んでいた缶コーヒーを差し出してくる。


「えっ!? ちょっ、何言ってるんですか! 別に欲しくて見てた訳じゃありませんよ。
それに私、コーヒーはミルクと砂糖をたっぷり入れないと、未だに飲めませんし」

「へえ。ブラックで飲めないとか、青柳もまだまだお子様だな。はははっ」

「こっ、好みは人それぞれだし、良いじゃないですか」


そうだよ。20歳になっても私は、30過ぎの先生に比べたら、まだまだ子供だよ。


< 4 / 13 >

この作品をシェア

pagetop