先生と私の秘めごと


「あの、瀬川先生。前からずっと気になってたんですけど……。どうして先生は今日みたいに、回収したレポートを研究室まで持って来てとか。そういうことをいつも私にばかり頼んでくるんですか?
他にも学生はいるんだから、他の子にも頼めば良いじゃないですか」


私は前々からなぜだ? と少々不満に思っていたことを、思いきって瀬川先生に尋ねてみた。


「え? なんでって……君、そんな簡単な答えも分からないの?」

「はい。分からないから、私は聞いてるんです」

「ふーん。だったらしょうがない。本当は今はまだダメだけど、特別に教えてあげるよ」


そう言って先生は、まだ飲みかけの缶コーヒーを机の上に置くと、私のほうへと1歩1歩近づいてくる。


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