色気のない僕ら
Answer
「はい、おしまーい」
「は…?」
「キュンキュンしたんだろ?」
「は?」
「だから終わり」
「なっ…⁉︎」
…危ねぇ。
危うく理性を飛ばしかけた…。
元の位置に座り直す俺はふーっ、とひとつ息を吐いた。
彼女の視界を覆った後、顔を近づけた俺。
それは気配として彼女も気付いたはず。
なーのーにー。
ヤツは拒否らなかった。
沈黙は暗黙の了解、という悪魔な俺と。
相手が無反応なのにそれ以上ことを進めていいわけない、という紳士な俺。
結局この2人の戦いは第3の俺…ヘタレな俺の勝利、ということで決着がついた。
要はそれ以上何もできなくて顔を近づけたところで終了。
これが正解かどうかはわからないけど。
少なくとも“友達”ってラインは守れたはず…。
なんか、疲れた。
こんなこともうやらねぇ。
密かにそう心に誓い、緩くなった飲みかけの缶ビールに手を伸ばした時。
「え…っ、ちょっ⁈」
彼女がぐいっとその腕を引いた。