滋養強壮きゅん補給【壁ドン企画】
「珍しいな、平井が爪塗ってるなんて」
「いや、これは、なんとなく……! 別にデガワに女捨ててるってからかわれたからとか、片桐に女らしいって思ってほしいとかじゃなくて……!」
やっぱり私にこんな可愛らしいピンクのネイルなんて似合わない。
頑張ったって上辺だけの女子力はすぐに剥がれてしまうんだから。
真っ赤になって言い訳すると、片桐は優しく笑いながら身体の後ろに隠した右手を掴んだ。
そして改めて私の右手を眺める。
「ここ、ペンが当たるから剥げたんだろ」
吐息を吐くように笑いながら、右手の中指のはげた爪先をなぞってそう言う。
「あ、これトップコート塗る暇なくって……」
「いいじゃん。仕事頑張ってるって証拠だろ。お前らしいわ」
ふっと整った顔を崩して笑う片桐に、心臓を打ち抜かれた。
そうだ。
片桐には今まで散々私のダメな部分を見られてきてたんだ。
徹夜明けのすっぴんでボロボロになってる姿とか、
仕事でミスして泣きべそかいてる顔とか。
今更女らしくしようなんて無駄な努力しなくても、ありのままの私を受け入れて好きだと言ってくれる片桐。
ぽんぽん、と私の頭を撫でる大きな手に、きゅんと胸が疼いた。