滋養強壮きゅん補給【壁ドン企画】
「それよりも、」
ポツリと言って片桐が私の手の中を見下ろす。
「随分やる気のある栄養ドリンクだな」
私が持っている栄養ドリンクを見て、片桐が小さく笑った。
二千円近くする金色に輝く栄養ドリンク。
「いや、これは……。」
そういえば、これを買ったときにも一緒にいた後輩のデガワにバカにされたっけ。
他にも女の子向けの可愛いパッケージの栄養ドリンクとか飲みやすい味のエナジードリンクとかたくさんあるのに、そんなおじさんくさいの買うんですか?って。
「すいませんね、おっさんくさくて。でもこれが一番効くの!」
開き直ってそう言って胸を張る。
これは本気で頑張らなきゃならない時のための、とっておきだ。
これを飲むと目がさめるのもあるけど、校了時のゲン担ぎの意味もある。
この栄養ドリンクをはじめて飲んだ時、ひとつのミスもなく下版を終わる事ができたから。
それから、高い栄養ドリンク飲んだんだから、ミスのひとつも出してたまるかっていう、自分への気合い入れもあって、校了時はこのドリンクを飲んでるんだけど。