思い出の場所で①
だから不安になった。

根本のドタキャン。
゛ゼミの飲み会゛って言ってたよな?
まさか『クローバー』にいないよな?
そこで志村と一緒なんてこと、ないよな?

イヤな予感ほど、良く当たる。
もちろん今回も、例外ではなかった。



時効は夕方6時少し前。
『クローバー』の前に着き、亜弥に
「ここだよ」と言いながら扉を開けた。
そして、最初に目についたのは男女4人づつ、計8名が向かい合う合コンの光景。
後ろ姿だけど、男性の1番左にいるのは間違いなく根本。
俺が分かるのだから、当然、亜弥にも分かるわけで…
「…悠紀?…」
と不安げに呟く声が聞こえた。

根本は後ろ姿だから、俺たちには気付かない。
しかし、根本の正面に座っている志村には、俺のことがしっかり見えるわけで、

「わぁー、修一先輩じゃないですか?
もしかしてデートですかぁ?」
と言う声に根本が振り返り、俺と亜弥のツーショットを確認した。

根本は驚いた表情で俺と亜弥を見つめ、根本の隣の山口は、申し訳なさそうな顔をしていた。

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