思い出の場所で①
だって、彼女が告げる日は、私が悠紀にドタキャンされた日と重なるから…

何それ?
私との約束より、志村さんとの飲み会を優先してたって言うこと?

悠紀を見るが、目を合わせてくれない。
修ちゃんと山口くんは、苦い顔。

残りの男子2人と女の子たちは、
「根本くん。梢と付き合っちゃえばいいのに…」
「そうそう。
約束キャンセルされても文句も言わないなんて、きっと彼女の方にも、別の男がいるんだよ」
と、言いたい放題。

聞いていられなくなった私は、
「ごめんなさい。
ちょっとお手洗いに…」
そう言ってその場から逃げた。
そして、トイレの個室でため息をつく。

『逃げたい。
あの席に帰りたくない』

そう思った私は、トイレから出ると、誰にも見つからずに、そのままお店を出た。

コートを脱いだままだったから少し寒いが、あの場所にいるよりは全然いい。

お店からかなり離れてから、修ちゃんと山口くんにメールを送った。


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