好きとは言えない
□好きとは言えない
いつ頃から、と聞かれたらどう答えたらいいのか分からない。
それくらい私は自然とあなたに惹かれていた。
「先生、見逃してよ」
顔の前で手を合わせお願いと頼んでくるのは、私の受け持つクラス2年1組の生徒である田所くん。
派手な髪型に、緩められたネクタイに、上から3番目まで開けられたシャツのボタンに、腰パンに、踵を踏んでいる上履き。
その身形から校内イチと呼ばれる程の問題児。
そんな田所くんに惹かれてしまった私は本当に駄目な先生なのだろうけれど、惹かれてしまった以上どうする事も出来なくて…
私は教師であり田所くんより10歳も年上。
だから、この気持ちは墓場まで持っていくつもりでいる。
誰にも知られてはいけないこの想いを。
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