曖昧な関係の境界線
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
辞表を出した。父親が経営している小さい会社を継ぐことを決めた。いつかは帰るつもりで数年今の会社にいたが、やっと決心できた。
「お前が社長か~……」
酔った別部署の先輩が俺に絡む。
「社長じゃないですよ、まだ。威張れないほど小さい会社だし」
「いいね~自分の城」
送別会をやってくれるのは嬉しい。ただ、今の俺はすぐにでも帰りたかった。居酒屋で同じテーブルの斜め向かいに佐伯先輩が座っているからだ。救いは金城さんが来ていないことだけ。
「お前結婚どうするの?」
「さぁ……いい出会いがあれば……」
嫌な話しを振られた。先輩の前ではしたくない話題だ。会社を継ぐということは自分だけでなく跡継ぎのことも考えていかねばならない。結婚の話が出るのは当然なのだけれど煩わしい。
「長谷川くん彼女いないの?」
別の先輩女性が俺の気持ちなんて知らずに聞いた。
「いないです」
「へぇー意外。じゃあ佐伯ちゃんどう?」
ビールを飲んでいた佐伯先輩がむせた。
「ちょっ、けほっ、……何言ってんの!」
「だって佐伯ちゃん彼氏と別れたんでしょ?」
俺は箸を止めた。
「いいから、そんなこと言わなくて!」
「結局一度も写真見せてくれなくてさー」
辞表を出した。父親が経営している小さい会社を継ぐことを決めた。いつかは帰るつもりで数年今の会社にいたが、やっと決心できた。
「お前が社長か~……」
酔った別部署の先輩が俺に絡む。
「社長じゃないですよ、まだ。威張れないほど小さい会社だし」
「いいね~自分の城」
送別会をやってくれるのは嬉しい。ただ、今の俺はすぐにでも帰りたかった。居酒屋で同じテーブルの斜め向かいに佐伯先輩が座っているからだ。救いは金城さんが来ていないことだけ。
「お前結婚どうするの?」
「さぁ……いい出会いがあれば……」
嫌な話しを振られた。先輩の前ではしたくない話題だ。会社を継ぐということは自分だけでなく跡継ぎのことも考えていかねばならない。結婚の話が出るのは当然なのだけれど煩わしい。
「長谷川くん彼女いないの?」
別の先輩女性が俺の気持ちなんて知らずに聞いた。
「いないです」
「へぇー意外。じゃあ佐伯ちゃんどう?」
ビールを飲んでいた佐伯先輩がむせた。
「ちょっ、けほっ、……何言ってんの!」
「だって佐伯ちゃん彼氏と別れたんでしょ?」
俺は箸を止めた。
「いいから、そんなこと言わなくて!」
「結局一度も写真見せてくれなくてさー」